子どもが自ら成長できるベースを育むための信頼関係と環境構築

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」という言葉は、戦艦「長門」の山本五十六（いそろく）長官の言葉で、人の心を動かすための言葉として、現在でも様々な場面で語り継がれています。
　この言葉は、子育ての中でも広く応用できると考えています。概ね2歳児までの子どもが言葉を覚えるときは、大人が話しているのを聞いて、まねをして覚えていきます。子どもに何か行動を起こす時に、子どもの傍にいる大人がお手本となり、やってみせることが一番効果的なのです。人間はモデルから学んでいく動物。どんな学びも、まず大人がモデルになって“やってみせる”姿を見せるところから始まります。
　子どもが3歳を迎えるあたりから必要になるのは、文字・数などの前に、失敗から学ぶことが上手、人と協力できる、自分で考える、違う価値観を柔軟に受け止める、新しい発想ができる…そんな力です。私たちは「忍耐力・社会性・感情コントロール」の3つを基本に、幼児期に身につく力として、子ども達の非認知能力を高めることが必要であると考えています。成人後もその効果が続き、社会的な成功や健全な生活につながるという研究結果もあります。
　
　私たちが行うべき、当園での保育の実現のために、日々研鑽を積むことを怠らずに、常に子ども達が何を求め、何が出来るかを考え、実行に移すようにしています。そのような中で特に大切にしていることは、私たちが、子ども達と共に過ごす時間の中で、子どもを観察することと同じタイミングに、子ども達も私たちを観察していることを知ることです。私たちは、子ども達と同じ空間で、子どもと共に成長していると言っても過言ではありません。そこには彼らとの信頼関係を築くことが重要で、その信頼を得る為の裏付けとして“嘘”のない環境作りが不可欠であると考えています。これから先の人生で、いまここにいる子ども達を待っている数多くの試練に対し、逃避せず、自分の意思で周りに尋ね、人を頼ることを恥じず、自分の力で困難に立ち向かう気持ちを大切にしたいと考えています。そして、私たちも共に育つ子ども達のために、友と出会い、自由に過ごし、遊び、感動を共にできる環境を作ることが使命であると考えています。

社会福祉法人コスモス福祉会
理事長　脇山 祐治